会社設立代行を請け負う業者は日本に山ほどありますが、近年バーチャルオフィスの運営業者が自ら代行するケースが増加傾向にあります。
理由は簡単で、起業目的でバーチャルオフィスを新規で利用するユーザーは必ず会社の設立に関する事務手続きを済ませる必要があるので、遅かれ早かれ誰かがやることになるからです。
もしもユーザーが自分で手続きを済ませるのであればそれで結構ですが、忙し過ぎて手が回らなかったり、難しくて手に負えない場合などは自分で司法書士や行政書士を探して設立代行を依頼することになります。
ところが、会社設立に関わる事務手続きを司法書士などに依頼すると高額な費用が発生することが多いため、バーチャルオフィス運営業者がより安く手続きを代行することで、利用者もバーチャルオフィス業者もお互いが得をするのです。
この記事では会社設立に関わる事務手続きを直接請け負っているバーチャルオフィス4社と代行業者や代行サービスを紹介してくれるバーチャルオフィスを5社選んで、値段や内容の違いを比較した結果を紹介しますが、結論から言うとDMMバーチャルオフィスが提携している『マネーフォワードクラウド会社設立』がコスパ・評判の面で最もおススメできます。
会社設立代行を直接請け負うバーチャルオフィス
Karigo (カリゴ)
全国展開していることで有名なKarigo (カリゴ)ですが、会社設立を代行するバーチャルオフィスとしても有名です。多くのバーチャルオフィスでは司法書士や行政書士などの専門家を紹介したりしますが、手続きを代行するバーチャルオフィスは有名どころではそれほど多くありません。
DMMバーチャルオフィスやGMOオフィスサポートなどの大手バーチャルオフィスでさえ、会社設立代行や起業支援などの住所利用以外のサービスには注力していない実情があります。
カリゴはバーチャルオフィスの老舗であり、会社設立代行を早い段階で始めたバーチャルオフィスのひとつです。カリゴの会社設立代行の手数料は株式会社・合同会社の区別はなく一律43,300円です。
定款認証手数料は株式会社が50,000円、合同会社は60,000円になります。また、登録免許税は株式会社が150,000円、合同会社は電子定款なので0円になります。
定款認証手数料と登録免許税以外の諸費用も発生しますが、総額で株式会社が246,300円、合同会社が104,300円になります。
参考までに、カリゴでは変更登記の代行も請け負っており、役員変更から会社解散に至るまであらゆる変更登記に対応しています。
変更登記でも登録免許税は必要になりますが、カリゴでは変更登記の代行手数料は種類に応じて料金が異なります。商号変更な簡単な変更なら10,000円で代行してもらえますが、支店登記なら25,000円、会社変更なら80,000円になり、種類によって料金に幅があります。
会社設立の代行事務は煩雑で時間がかかるため、具体的にどういった書類が必要なのか知りたい方はKarigo(カリゴ)の詳細について書かれたこちらの記事を参考にされると概略が理解できるようになっています。
ユナイテッドオフィス
ユナイテッドオフィスでは会社設立代行に関わる事務手続きを代行していますが、設立する会社の法人格によって代行手数料が異なります。
株式会社の場合、下の表の通り代行手数料は5,500円になります。登録免許税150,000と公証役場で支払う定款認証料52,000円は実費負担なので、総額は代行手数料の5,500円を足して207,500円になります。
他社サービスでは定款の作成は本人が済ませる必要があるケースが多いので、フルセットで5,500円は確かに安いと言えます。
合同会社の場合も代行手数料は5,500円ですが、合同外会社の場合は登録免許税が60,000円で定款認証料が必要ないため、総額で65,500円になります。
なお、ユナイテッドオフィスの詳細についてはユナイテッドオフィスの口コミと評判~料金プランを他社と比較が参考になります。
アントレサロン
創業支援に力を入れたサービス展開で利用者の獲得に成功しているのが銀座セカンドライフが運営するバーチャルオフィスのアントレサロンです。
アントレサロンでも創業支援の一環として会社設立代行を請け負っていますが、株式会社が40,000円、合同会社が30,000円で代行してもらえます。
アントレサロンも会社設立に関する事務手続きで公証役場で必要なる定款の認証を電子定款で済ませるので、個人で手続きをするよりも安くなることをアピールしています。
電子定款を利用すると定款の印紙代が無料になるので、会社設立代行を請け負うバーチャルオフィスや個人で設立代行を請け負う士業の方々も、粗利を得るため電子定款を利用するのがメジャーになっています。
会社設立の代行にかかる費用は、定款の認証料や登録免許税など代行手数料以外は全て実費負担になるので、コストを抑えるには電子定款を利用するしかありません。アントレサロンの場合、電子定款を利用して浮いたぶんをそのまま手数料として扱っているのがよく分かります。
なお、アントレサロンは助成金や補助金の申請に詳しいバーチャルオフィスとして有名なため、東京都でバーチャルオフィスを利用して起業を考える人でアントレサロンを利用する人は多いです。
アントレサロンの創業支援については、アントレサロン【助成金・口座開設が有利】の口コミ評判と料金プランが参考になります。
ルミエ
ルミエは大阪と神戸を中心に自習室やパソコン教室を運営するCSネット有限会社が運営するバーチャルオフィスです。ルミエは関西でも数少ない格安バーチャルオフィスのひとつで、会社設立代行を請け負っているバーチャルオフィスとしても関西では希少な存在です。
株式会社の設立代行手数料は19,800円で、定款認証手数料と登録免許税を合わせると総額221,800円になります。
合同会社の設立代行手数料も19,800円で、定款認証手数料は電子定款を使用するため無料で、登録免許税の60,000と合わせると総額79,800円になります。
他社では会社設立代行手数料の粗利を電子定款を利用して印紙代が無料になった差額で充当するケースもありますが、ルミエの場合は約19,800円を利益として回収しているぶん良心的だと言えます。
代行手数料をいくらにするかはバーチャルオフィス次第ですが、自分で開業している士業や事務所に依頼するよりもバーチャルオフィスで代行してもらうほうが安くなるケースが多いです。
カスタマープラス
高級バーチャルオフィスと格安バーチャルオフィスの中間的存在で魅力的なカスタマープラスでは会社設立代行を無料で代行しています。お金を取らない理由は、バーチャルオフィスの利用料で採算が合うためだと考えられます。
実際、キャンペーンで月額料金もかなり安くなっていますが、それでも格安バーチャルオフィス他社と比べるとそれほど安い分けでもありません。
カスタマープラスの場合も、株式会社と合同会社で会社設立代行にかかる費用は異なります。これは公証役場で払う定款認証料と登録免許税が実費負担になるためで、この点に関しては他社と共通しています。
株式会社設立にかかる費用の詳細は下の表の通りです。資本金の違いによって定款認証料が異なり、100万未満・100万以上~300万未満・300万以上の3段階に分けており、それぞれ30,000円、40,000円、50,000円の順に高くなります。なお、株式会社の登録免許税が150,000円なのは共通事項です。
合同会社の場合は法務局に支払う登録免許税60,000円が必要なだけで、総額60,000円で代行してもらえます。定款認証料が0円なのは電子定款を利用するためです。
電子定款を利用しない業者に依頼すると、定款認証料が実費負担になるため40,000円必要になりますが、最近ではどこの業者も電子定款が主流になっています。
なお、カスタマープラスでは一般社団法人の設立代行は取り扱っていません。また、上記の代行手数料はキャンペーン価格となっていますので、キャンペーンを適用しない場合の代行手数料は5,217円になります。
カスタマープラスについては、【カスタマープラス】新宿で会社設立代行が無料のバーチャルオフィスが参考になります。
会社設立代行サービスを紹介するバーチャルオフィス
前述のバーチャルオフィス5社はいずれも自社サービスの一環として会社設立代行を請け負っていますが、多くのバーチャルオフィスでは直接自社では請け負わず、その代わり専門の士業を紹介するスタンスを採用しています。
どのバーチャルオフィスでも士業を紹介しているわけでもないので、代表的なバーチャルオフィスをいくつかピックアップして紹介します。
DMMバーチャルオフィス
DMMバーチャルオフィスは会社設立を直接代行しませんが、株式会社マネフォワードと業務提携することで個人で会社設立が完結できる『マネーフォワード クラウド会社設立』というサービスを紹介しています。
このサービスは会社設立に伴う必要書類を簡単に作成できる優れもので、必要事項を入力すると定款をはじめとする登記に関わる書類を揃えることができます。
また、電子定款の作成にも対応しており、紙媒体を使用すると印紙代が40,000円かかるところを、『マネーフォワード クラウド会社設立』では5,000円で作成できます。
DMMバーチャルオフィスではバーチャルオフィス以外のお役立ちサービスは業務提携している他社にお任せすることで、自社サービスをスマートにする設計になっています。DMMバーチャルオフィスの詳細については、DMMバーチャルオフィスの口コミと評判・料金プランを他社と比較が参考になります。
なお、DMMバーチャルオフィスを利用しながら『マネーフォワード クラウド会社設立』を利用するには、別途マネーフォワードと契約する必要があります。
株式会社の場合、定款作成手数料5,000円と定款認証料32,000円、登録免許税150,000円を合わせて総額187,000円で登記を済ませることが可能です。
合同会社の場合、定款作成手数料5,000円と登録免許税60,000円を合わせて総額65,000円で登記を済ませることが可能です。なお、合同会社の場合、定款の認証がないので認証手数料は不要です。
株式会社・合同会社ともに司法書士などの専門家に依頼するよりも大幅にコストを抑えることができますし、自分で登記の手続きをするにしても、マネーフォワードを利用せず紙媒体の定款で認証しようとすると、印紙代が別途40,000円必要になります。
『マネーフォワード クラウド会社設立』を利用すれば面倒な電子定款の作成を5,000円で作れるだけでなく、残りの手続きに必要な書類も全て作成することができます。
レゾナンス
東京の格安バーチャルオフィスで大人気のレゾナンスは会社設立代行を直接請け負っていませんが、DMMバーチャルオフィスと同じで専門業者と業務提携することで利用者が個人で会社設立できるよう便宜を図っています。
また、レゾナンスはフリー株式会社と業務提携して同社のfree会社設立というオンラインサービスも紹介しています。
free会社設立はDMMバーチャルオフィスが提携している『マネーフォワード クラウド会社設立』の類似サービスと言ってよいものですが、図解で見る限り定款は明らかに電子定款を使用する前提で印紙代を無料にできているのはマネーフォワードと同じです。
ただし、定款認証手数料に若干の違いが見られます。定款認証手数料は登録免許税と同じで料金は変わらないはずですが、マネーフォワードとfree会社設立では定款認証手数料の記載が全く異なります。
ただし、記載は異なっても実際に発生する料金は公証役場が決めることなので、公証役場が払う以上の手数料が発生することはありません。
レゾナンスのサービスで会社設立以外の情報に関しては、レゾナンスの口コミと評判~料金プランを他社サービスと比較が参考になります。
free会社設立を利用して株式会社の設立手続きをした場合、電子定款の作成費用5,000円と定款認証手数料52,000円、登録免許税150,000円を足して総額207,000円で登記が完了します。
free会社設立を利用して合同会社の設立手続きをした場合、電子定款の作成費用5,000円と、登録免許税60,000円を足して総額65,000円で登記が完了します。なお、合同会社の場合、定款の認証がないので認証手数料は不要です。
なお、現時点ではレゾナンスが会社設立サービスで業務提携しているのはfree株式会社だけですが、法人変更登記をオンラインで安く済ませることができるGVA TECH株式会社のGVA 法人登記 というサービスも業務提携により紹介しています。
GVA法人登記はfree会社設立と異なり変更登記のみに対応した特化型のオンラインサービスとなっており、法人格も株式会社のみを対象としているため、有限会社や合同会社の変更登記には対応していません。
参考までにYouTubeの動画を紹介します。
ワンストップビジネスセンター
全国展開のワンストップビジネスセンターはその名の通り、サービスをワンストップで提供するという理念のもと会社設立代行を依頼できる士業(司法書士・行政書士・公認会計士)を全国46都道府県の中から紹介してもらえます。
ただし、ワンストップビジネスセンターもGMOオフィスサポートと同じで、実際にかかる費用は提携している士業によって異なるため、料金は一定ではありません。
また、ワンストップビジネスセンターはfreee株式会社とも業務提携しており、『free会社設立』を利用することを推奨しています。『free会社設立』の詳細は前項のレゾナンスの紹介記事を参照してください。
ワンストップビジネスセンターは多くの士業や会社と業務提携しており、バーチャルオフィスを利用するうえで必要になるサービスはだいたい公式サイトで調べることができるようになっています。
ワンストップビジネスセンターについては、ワンストップビジネスセンターの口コミ評判~料金プランを他社と比較が参考になります。
GMOオフィスサポート
GMOオフィスサポートでは、業務提携している司法書士だけを紹介してもらえます。ただし、実際にかかる費用は司法書士によるため、あらかじめ料金を確認することはできません。
公式サイトにも詳細は記載されていないため、実際にGMOオフィスサポートを利用するかメールで問い合わせる以外に確認する方法がありません。
GMOオフィスサポートは料金プランがかなりシンプルに仕上がっていて、自社サービスと他社サービスを明確に区別しています。大手のDDMバーチャルオフィス同様、サービスのスリム化を図るために電話番号の利用も他社サービス(グラントン社の03plus)の利用を推奨しています。
GMOオフィスサポートの詳細については、GMOオフィスサポートの口コミと評判・料金プランを他社と比較が参考になります。
まとめ
会社設立代行の実費負担で大きな割合を占めるのは、定款認証料と登録免許税のふたつだということがよく分かります。定款認証料と登録免許税だけは割引や免除といった方法が存在しないので必ず払う必要があります。
また、定款の認証にあたっては紙媒体の定款と電子定款を利用する場合で印紙代が異なります。電子定款を利用すれば印紙代は0円で済みますが、従来の紙媒体で作成した定款を提出して認証を受けると印紙代が40,000円かかります。
その他、登録免許税も株式会社と合同会社で大きく異なり、株式会社でも資本金によって10,000円単位で異なります。
会社設立を代行するバーチャルオフィスはこれらの費用を総合的に考慮した結果、バーチャルオフィスを利用してもらうことのメリットのほうが大きいという理由で、格安で会社設立代行サービスを提供したり、利用者がオンラインサービスを利用して安く手続きできる方法を紹介しています。
なお、業務提携で紹介されるオンラインサービスには『マネーフォワード クラウド会社設立』と『free会社設立』が2つになりますが、ネット上の口コミや評判を見る限り『マネーフォワード クラウド会社設立』を利用することをオススメします。
なお、オンラインで会社設立できるその他のサービスについては、【電子定款の作成・設立登記】会社設立をオンラインで完結できるサービス5選が参考になります。電子定款の作成手順や登記に必要な書類について具体的に説明しています。
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