バーチャルオフィスのサービスのサービスひとつに創業支援や起業サポートといった、これから事業を始めようとする人のためのサポートがあります。
サービス内容の大枠はだいたい同じですが、細部が異なっていたり、料金に違いがあります。基本的に①会社の設立に伴うサポート、②法人口座の開設に伴うサポート、③助成金・補助金・給付金に関わるサポートの3種類に分かれており、バーチャルオフィスによって得意分野も異なります
そのため、これからバーチャルオフィスの利用を検討しているなら、自分が必要とする分野のサポートを得意とするバーチャルオフィスを選択するべきです。
会社の設立に伴う各種手続きをサポート
会社の設立という言葉には2つの意味合いが込められます。ひとつ目が個人事業主としてフリーランスで開業するケースで、2つ目が株式会社など法人格のある会社組織を設立するケースです。両者は意味が全く異なっており、必要になる手続きも開業したことによって得られるメリットも全く異なります。
バーチャルオフィスが会社の設立をサポートする場合、【開業届の代行】と【設立登記の代行】に大きく分けることができます。会社設立を代行するバーチャルオフィスについては、会社設立代行【無料あり】を依頼できるバーチャルオフィスおすすめ9選で詳しく解説しています。
開業届の代行
いわゆる設立代行と呼ばれるサービスがこれにあたり、大きく分けてバーチャルオフィス業者が直接代行するケースと、free会計やマネーフォワードクラウド開業など無料で利用できるクラウドサービスの利用を進める方法に分類されます。
①バーチャルオフィス業者が代行
開業届の手続は非常に簡単ですが、これを有料で代行するバーチャルオフィス業者もあります。相場は一定ではありませんが、そもそも開業届には費用がかからないため高額な手数料を取らない業者が多いと言いたいところですが、3万円で代行している業者も存在します。
②無料サービスを利用を紹介
開業届は税務署へ行き所定の様式に必要事項を記入するだけで済む手続きですが、税務署へ行かずにPCやスマホを利用して済ませることも可能です。
無料サービスを紹介するバーチャルオフィス業者はfree開業やマネーフォワードクラウド開業届のような、クラウド会計サービスを扱っている会社の無料サービスを紹介するケースが目立ちます。
free開業をはじめとする無料クラウドサービスの使い方については、マネーフォワードクラウド開業届の使い方と使用したレビューを紹介・free開業を利用してオンラインで開業届を提出した体験レビュー・e-Taxを利用した開業届の作り方と電子申請の方法で詳しい利用方法を解説しています。
設立登記の代行
開業届はフリーランスなどの個人事業主が事業内容や屋号を税務署に登録する簡易な手続きだけで済みますが、会社を設立して法人格を持たせるとなると法務局へ設立登記の書類を提出する必要があります。バーチャルオフィス業者が設立登記をサポートする場合、3つのパターンに分かれます。
①提携している書士を紹介
会社の設立登記を提携している司法書士に委ねる方法は最も一般的な方法ですが、最も高額になるのも確かです。料金の相場は一定ではありませんが、代行手数料のみで10万円、登録免許税などの実費負担を含むと30万円を超えるケースもあります。
ただし、司法書士の多くは専門の分野を持っているので、その道のプロに任せれば間違いなくスムーズに手続きが進みます。また、司法書士に依頼した場合は設立する会社の法人格を問わず対応してもらえます。
②バーチャルオフィス業者が代行
設立登記は、株式会社・有限会社・合同会社・社団法人などに分けることができますが、設立登記を代行するバーチャルオフィスの多くは株式会社と合同会社のみ扱っているケースが多いです。
また、株式会社の設立登記は資本金の額によって登録免許税が3段階に分かれることと、定款を紙媒体で作成するか電子媒体で作成するかによって、公証役場で発生する印紙代の料金に違いが生じます。
そのため、設立代行を請け負うバーチャルオフィス業者は必ず電子定款を作成して手続きを進める前提で代行手数料を提示します。また、株式会社の設立に伴い必要となる登録免許税に関しては、たいていの場合一律15万円で統一しているケースが目立ちます。
③無料サービスを利用を紹介
バーチャルオフィス業者が司法書士を紹介したり手続きを代行せず、クラウドで手続きを済ませることができるサービスを紹介するケースもあります。
紹介するサービスは、①free会社設立、②マネーフォワードクラウド会社設立、③弥生のかんたん会社設立、この3つのうちいずれか、もしくはまとめて複数サービスを紹介しているケースもあります。
これらのクラウドサービスに共通しているメリット、株式会社の設立で必要になる定款の印紙代4万円を電子定款を利用することで無料にできることです。
また、弥生のかんたん会社設立は電子定款の作成手数料も無料なので本当に手数料無料で実費負担だけで設立登記が可能ですが、free会社設立とマネーフォワードクラウド会社設立は電子定款の作成手数料5,000円が必要になります。
銀行口座の開設に伴う各種サポート
バーチャルオフィスが銀行口座の開設サポートするには銀行紹介制度を設ける方法がありますが、銀行紹介制度にも2種類あります。
ひとつ目がバーチャルオフィスと大手銀行の支店との信頼関係のみで構築された紹介制度で、これは銀行の支店を紹介することになります。
ふたつ目が業務提携による紹介制度で、これはバーチャルオフィスと銀行本店との取引になるので、圧倒的な影響力を持ちます。
支店単位での銀行紹介制度
バーチャルオフィスが自社の公式サイトで法人口座を開設できる銀行を紹介している場合、それは紹介制度に基づくものだと解釈して間違いありません。なぜなら、バーチャルオフィスは銀行に無断で口座開設を推奨することはできないからです。
利用者が口座を開設した実績があるということで、口座開設実績一覧を掲載しているバーチャルオフィスはありますが、紹介制度あり法人口座の開設を推奨していても実際に口座の開設に成功するかどうかは、利用者と銀行との関係がメインとなります。
また、銀行の紹介制度があるバーチャルオフィスでも紹介の仕方には2通りあります。
- 公式サイトにリンクを設置
- 銀行の支店担当者を紹介
当然、銀行の窓口担当を紹介してもらえるほうがコネクションは強くなるので、単に公式サイトに銀行のHPのリンクが設置されているだけの紹介制度よりもかなり有力です。銀行口座の開設に有利なバーチャルオフィスについては、【業務提携・紹介制度】銀行の法人口座の開設に有利なバーチャルオフィス7選で詳しく解説しています。
本店との業務提携による紹介制度
業務提携は企業が営利目的で行う業務上の取引なので、紹介制度を上回る力があります。例えばバーチャルオフィスが銀行と業務提携する場合、銀行の新規顧客が増える見込みを考慮してバーチャルオフィスの公式サイトに銀行の口座開設申し込みフォームを設置しますが、これはお願いではなくて提携上の決まりです。
そうすることで銀行は有望な新規顧客を獲得できるし、バーチャルオフィスは法人口座が開設し易いということで新規利用者を獲得しやすくなります。
業務提携はバーチャルオフィスと銀行の双方が得をする前提で行われているので、紹介制度よりも格段上の影響力があります。
助成金・補助金・給付金など資金に関するサポート
助成金・補助金・給付金の種類は非常に多く内容も細分化されているため、専門家の助言やサポート無しで恩恵を受けようとしても失敗するどころか、そもそも自分が支給対象なのかどうかさえ判断できないケースがほとんどです。
基本的に国や地方自治体などの行政から支給されるお金の支援は、自分が対象になっていたとしても申請しなければもらえないという大前提があるため、もらい損はなくても見逃しているケースが圧倒的に多くなります。
各都道府県の補助金・助成金・給付金の一覧は、創業者向け補助金・給付金(都道府県別)で確認することができます。
助成金・補助金に関するサポート
助成金と補助金は並べて使われることの多い単語ですが、両方とも行政から支給される点は同じですが、助成金が支給要件を満たしていれば支給され易いのに対し、補助金は支給される人の上限や予算による上限が厳密が決まっているため、申請者が多くなり審査に通らないケースが多くなるという違いがあります。
詳しい内容は、J-Net21の補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。を読むと非常によく分かります。
ところで、バーチャルオフィスが助成金・補助金のサポートをする場合になにをするかと言うと、①専門家や専門知識を持った人が有料・無料で相談に応じるケースと、②自社のバーチャルオフィスを利用することが助成金の支給要件の一部を満たすことで、自社のバーチャルオフィスの利用を進めるケースに分かれます。
①専門家による相談
オプションの充実したバーチャルオフィスでは必ずと言っていいほど用意されているサービスのひとつが専門家による創業支援に関する有料相談サポートで、普段から行政と関わりがある仕事をしている人や、関連情報について常にアンテナを張っていないと知ることができない情報を提供してもらえます。
また、自分が助成金の支給要件を満たしているか否か判断できない時に、診断サポートをするという名目で有料相談を実施ているバーチャルオフィスも存在します。
②バーチャルオフィスの利用が助成金の申請要件となるケース
助成金も補助金も都道府県ごとに実施主体が異なるので支給要件の内容も異なりますが、東京都の創業支援助成金については、東京都のインキュベーション施設に認定された一部のバーチャルオフィスを利用することが申請要件の基本的な要件を満たすケースがあります。
そのため、自社のバーチャルオフィスとレンタルオフィスを同じ住所で利用している業者がインキュベーション施設に認定された場合、当該バーチャルオフィスの利用者は東京都の創業支援助成金の申請要件の一部を満たしたことになるのです。(全ての要件を満たすわけではありません)
東京都の創業支援助成金に有利なバーチャルオフィスはいくつかありますが、代表的な業者としてアントレサロンが挙げられます。アントレサロンは行政とのコネクションが強く積極的に東京都の助成金事業に申請できる整備に尽力しているバーチャルオフィスとして有名です。
アントレサロンについては、アントレサロン【助成金・口座開設が有利】の料金プランと口コミ・評判で詳しく解説しています。また、インキュベーション施設は全国47都道府県全てに設置されていますが、詳しくは全国のインキュベーション施設 – eシェアオフィスを参照してください。
融資に関するサポート
バーチャルオフィスが融資に関するサポートをする場合、直接金銭を貸し出すことは絶対にありません。なぜならバーにバーチャルオフィスは貸金業ではないからです。
その替わり、バーチャルオフィスの利用者が融資を必要としている場合のバーチャルオフィスのサポートは相談がだけとなります。そして、相談内容は融資を受けられるかどうかの客観的なアドバイスであったり、融資してもらえる可能性のある金融機関を紹介するだけです。
ここで言う紹介とは、銀行の紹介制度とは全く異なります。ただ金融機関の名称などを教えるだけで、たいてい以下の2つの組織になります。
①日本政策金融公庫からの融資
代表的な例が日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は①国民生活事業、②中小企業事業、③農林水産事業、の3方面に融資する政策をとっており、このうち①国民生活事業は個人事業主をはじめとする小規模事業を対象とします。
融資の上限は①国民生活事業で最大1,000万円と高額なこともあり、多くの個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けています。具体的にどんな業種でどれくらいの額の融資が受けられるのかについては、日本政策金融公庫・融資の状況で公開されています。
従業員の少ない小規模事業でも、平均で600~700万円くらい融資をうけていることが分かります。
②銀行からの融資
会社規模が中小企業以上になると銀行からの融資が当たり前になりますが、実は小規模事業者でも融資を受けることは可能です。
もちろん、融資の相談を受けたバーチャルオフィスも銀行で融資を受けられることは説明しますが、なによりもまず法人口座が開設できていないと融資を受けることはできません。
また、法人口座を持っていたとしても経営状態を精査され、確実に返済できる見通しがない限り融資を受けることはできません。
銀行からの融資は日本政策金融公庫から融資を受けるよりもはるかに敷居が高いため、手段としては知っていても、小規模事業者が最初に検討するのは日本政策金融公庫のほうが圧倒的に多いです。
銀行の場合、法人口座を持っている顧客の事業がうまく行っているか否か口座のお金の流れで把握しているので、経営状態の良好な事業主には黙っていても銀行のほうから融資したいと誘いの声がかかります。銀行はけっこう露骨です。
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