バーチャルオフィスの住所を利用して起業・副業を考える人が増えるなか、東京をはじめ大都市の住所を格安で利用できるバーチャルオフィスの数はかなり増えました。ところが、大都市のバーチャルオフィスが増え続ける一方で、和歌山を含む地方都市の住所を提供できるバーチャルオフィスの数はそれほど増えていません。これにはいくつかの理由が考えられます。
和歌山で人口が集中するのは和歌山市と田辺市の2カ所で、それぞれ約00万人くらいの人口で推移しています。少ないですがコワーキングスペースやレンタルオフィスを運営している業者もありますが、バーチャルオフィスを運営している業者の存在はく聞いたことがありません。
そこで今回、和歌山県内のコワーキングスペース・レンタルスペースを運営している業者を隅から隅まで調べた結果、和歌山市内にコワーキングスペースとバーチャルオフィスを平行運営している『シェアオフィス和歌山駅前』というレンタルオフィスを見つけることができました。
『シェアオフィス和歌山駅前』の運営会社
施設名:シェアオフィス和歌山駅前
運営会社:有限会社山植美容室
住所:和歌山県和歌山市友田町5丁目43番地 ヤマウエビル3階・4階
設立:2017年11月
サービス内容:防音対応個別占有スペースのレンタル
ラウンジスペースの提供
インターネット環境の提供
商談室、会議室のレンタル
eventのイベントの企画、実施シェアオフィス和歌山 公式サイトより引用
『シェアオフィス和歌山駅前』の所在地は下記の通りで、JR和歌山駅西口を出て国道42線と交わる最初の交差点を右に曲がってすぐのところにあります。
バーチャルオフィスの運営会社がレンタルスペース事業を運営しているのはよくあることで、むしろレンタルスペース事業を運営していた業者がバーチャルオフィス業界に参入するのが一般的です。
また、大都市ではITエンジニアと親和性の高いワーキングスペースは、IT企業が運営しているケースが非常に目立ちます。都市部ではワーキングスペースでの交流があらたなビジネスを生み出すまたとないチャンスとなるのはごく当たり前で、人脈作りのためにワーキングスペースを利用する起業家もいるくらいです。
和歌山の場合、IT産業の中心はどちらかというと南紀(白浜・田辺)のほうに比重が偏る傾向が続いていて、オフィスの場所を選ばない業種の方々のなかには白浜を拠点に活動している人もいます。
『シェアオフィス和歌山駅前』の料金プラン
レンタルスペース会員の料金プラン
防音対応個室会員
- 月額33,000円~77,000円
コワーキング会員
- 一般利用:月額6,490円
- 登記利用:月額9,790円(住所利用+登記利用)
貸し会議室
- 2,200円/1時間 25席
- 3,300円/1時間 45席
バーチャルオフィス会員の料金プラン
『シェアオフィス和歌山』のバーチャルオフィスの料金プランは非常にシンプルです。とくに複数プラン用意されているわけではなく、登記利用が可能な住所を月額9,790円でレンタルすることができます。
また、利用している住所宛に届いた郵便物は集合ポストで管理され随時連絡してもらえますが、基本的にオフィスでの直接受取のみの対応となっており、郵便転送サービスはありません。
なお、ドロップイン(連絡なしで不意に立ち寄る)での引き取りには対応していないとのことですが、郵便転送サービスについては相談可とのことです。
また、バーチャルオフィス会員はシェアオフィスや会議室を利用できる特典が付与されず、純粋にバーチャルオフィスのみの利用契約となります。
シェアオフィス和歌山駅前 公式サイトはこちら
『シェアオフィス和歌山駅前』の評判
『シェアオフィス和歌山』の口コミや評判を探したところ、Googleマップで2件の口コミを見つけることができました。
研修会で利用しました。室内は綺麗で換気を問題無いです。ただしトイレが1つで男女共有なので不便です。建物横の有料駐車場は高いので信号渡ったら安い駐車場あります。
出典:グーグルマップ
オンライン予約できます。支払いは現金のみです。
出典:グーグルマップ
『シェアオフィス和歌山駅前』は和歌山でみつかった唯一のバーチャルオフィスですが、バーチャルオフィスの認知度は地域によってかなり隔たりがあります。
和歌山にはコワーキングスペースはけっこうありますが、バーチャルオフィスの認知度はそう多くないのかもしれません。
バーチャルオフィスの利用者が増加傾向となった背景
バーチャルオフィスを利用する人の多くは、自宅が賃貸物件で自宅の住所では会社を登記できない人や、副業でネットショップを運営する際に必要となる特商法の表記に自宅の住所を記載したくない人が利用するのが大半で、その他には人気ユーチューバーやティックトッカ―がファンとやり取りする際の住所として活用されるケースもあります。
YouTubeに限らずネットで情報発信できるプラットフォームが普及するにつれ、ウェブサイトだけに依存して情報発信する手法では追いつかないのが現状で、SNSやブログを利用して情報発信していたユーザーも何かしらの動画配信型プラットフォームと連携した形で情報を発信するスタイルが増えました。
また、情報発信のスタイルが変化すると不特定多数の人に情報が行き届く反面、情報発信している人のプライバシーをいかにして守るかについても注意を払う必要が生じるようになりました。
なぜなら、顔や住所・氏名が公開された状態で情報発信を続けることは、一部の悪意ある人間による格好の標的となる危険性が生じるからです。検索エンジンのアルゴリズムや画像認証の発達は住所を検索しただけで自宅の場所や写真まで特定されるのが当たり前となり、自分の自宅の住所を不用心に公開することがいかに危険か伺い知れます。
ネットショップの運営でバーチャルオフィスの住所を利用するユーザーが増加した理由にはこういった背景があるのです。
近年、ネットショップの運営では基本的に販売者と購入者がお互いに自宅の住所を知ることなくやり取りができるよう、ASPカート(BASE・STORESなどのショッピングカート型プラットフォーム)の大手各社では、販売者の特商法の表記にプラットフォームの住所と電話番号を転用できる【非公開設定】という機能を提供する企業も増えてきました。
ただし、ASPカートの非公開設定は絶対的なものではなく、購入者がプラットフォームに販売者の情報開示を求めれば必要に応じて販売者の個人情報を公開する決まりになっているため、まっとうな販売者が悪意ある第3者から秘匿性を守り抜くには不完全な一面もあります。
そうしたことから、ネットをはじめとする媒体で情報発信する人が不要な攻撃から身を守るための手段としてバーチャルオフィスの住所を利用する割合が増えるようになったのです。
バーチャルオフィス業界の実態~都市部と地方都市の格差
バーチャルオフィスの運営会社の多くはレンタルスペース事業とバーチャルオフィス事業を平行運用しています。理由は物理的空間を提供するレンタルスペース事業で収益をあげながら、同一住所を有料でバーチャルオフィスとして提供することで、不動産を効率よく運用できるからです。
レンタルオフィスもバーチャルオフィスも自社物件でなくても運営できる点、不動産の有効活用という観点から優れたサービス形態であると評価できます。
また、ニーズが多ければバーチャルオフィスだけで大きな収益を出すことも可能なことから、都内では渋谷・表参道をはじめとする人気エリアを拠点として今もなお新規参入する業者が後を絶たたず、都市部での競争は激化の一途を辿っています。
また、大手のGMOグループやDMMドットコムも参入することで、格安バーチャルオフィスの存在もクローズアップされるようになりました。大手2社は都内はもとより名古屋・梅田・博多などの主要都市に拠点を設置することで、目下他社の追随を許さない独走状態となってしまいました。
そんななか、地方でレンタルスペース事業を展開している業者のなかから新たにバーチャルオフィスの運営を始める人達が現れるようになりました。バーチャルオフィスは電話転送サービスや電話代行サービスなど人権費がかかるサービスを省くと不動産を所有しているだけで運営できるというメリットがあるため、地方でもニーズがあれば採算が取れます。
バーチャルオフィスの運営者には古くから不動産を所有している人だけでなく、レンタルした物件をワーキングスペースとして活用(転貸とも呼ぶ)することで事業を成立させるケースのほうが多いのが現状で、地域ごとのニーズを鋭く捉えることで利用者を増やすことは可能であることが知られています。
また、都市部では物件の賃料に比例して利用料も高くなりますが、地方では自己所有の物件で運営されることが多いため賃料は都市部ほど高くないと思われがちですが、地方は都市部ほどニーズも多くなく競争率も低いた、料金はそれほど安くない業者が多いのが実情で、下手をすると都市部のほうが安かったりします。
東京を例に挙げると、レンタルオフィスなら月額5万円程度、バーチャルオフィスでも月額1万円程度が多いです。ただし、バーチャルオフィスで月額1万円を払える人はそれほど多くないのも現実で、最近では住所利用と登記利用がセットで月額1,000円以内のプランも登場するようになりました。
令和のバーチャルオフィス業界は薄利多売の象徴的な存在だと言えます。
大都市の住所利用で有名な格安バーチャルオフィス
ところで、都市部の格安バーチャルオフィスにはどういった業者や料金プランがあるのか、参考までに下記に一例を紹介します。
- GMOオフィスサポート
月額660円~
銀座・渋谷・新宿・青山・秋葉原・横浜・名古屋・京都・梅田・博多
- DMMバーチャルオフィス
月額990円~ 銀座・渋谷・名古屋・梅田・福岡天神
- レゾナンス
月額990円~ 銀座・渋谷・新宿・浜松町・日本橋・横浜
- NAWABARI
月額1,078円~ 目黒・(渋谷)
大手GMOグループのGMOオフィスサポートやDMMドットコム配下のDMMバーチャルオフィスは巨大な資本を背景に積極的な店舗展開を繰り広げ、大都市の住所を月額660円や990円のように破格の安さで利用できるサービスを提供することで大半のシェアを獲得しています。
一方で、レゾナンスやNAWABARIのように大手ではなくても渋谷や目黒の住所を月額1,000円前後で、しかも郵便転送サービスが付帯されたサービスを提供することで多くの利用者の獲得に成功しています。
NAWABARIにいたっては基本料金に電話の留守電預かりも含まれており、電話番号を特商法の表記に利用することも可能な為、ネットショップ界隈ではBASEとも業務提携を結び多くの支持を集めています。
地方都市の住所利用で有名な格安バーチャルオフィス
- 和文化推進協会 月額550円~ 京都市のみ
和文化推進協会 公式サイトはこちら
- オフィスゼロワン 月額550円~ 東京都板橋区
オフィスゼロワン 公式サイトはこちら
- グリーントラストサポート 月額550円~ 札幌市のみ
グリーントラストサポート 公式サイトはこちら
地方都市の住所を格安で提供しているバーチャルオフィスの特徴は、提供できる住所が1カ所のみである点で共通しています。その理由は扱う物件を1カ所に限定することで維持費を安くし、そのぶん利用者をたくさん集めて収益をあげようとしているからです。採算を取るには相当数の利用者を獲得する必要があります。
また、地方都市の格安バーチャルオフィスは業者自体が小規模である点も共通しており、オフィスゼロワンやグリーントラストサポートは従業員数名だけで運営されています。
その他、地方都市の小規模で格安なバーチャルオフィスはワーキングスペースなどのレンタルスペース事業から派生的に運営されるようになったケースが多いですが、たいていバーチャルオフィスプランとレンタルスペースプランをコラボさせずにバーチャルオフィスプランだけを単独で提供しているケースが多いです。
その理由は、地方のバーチャルオフィスの多くが地元の利用者を対象とした地域密着型のサービス展開をするのに対して、地方の格安バーチャルオフィスは住居が他府県の利用者をもターゲットにしているため、実店舗にある会議室などの利用を考慮する必要性が低いからです。
逆に、都内で関東近辺の利用者を限定的に集客しているバーチャルオフィスは、必ず会議室などのレンタルスペース事業をセットで提供できるサービス体制になっています。銀座アントレサロンはその典型例と言って良いでしょう。
『シェアオフィス和歌山駅前』以外のコワーキングスペース・シェアオフィス
和歌山市内のコワーキングスペースの一例
T-LABO | 和歌山県和歌山市美園町5丁目4-2 |
Studio RICO | 和歌山県和歌山市新通5丁目6番地 |
Coworking space コンセント | 和歌山県和歌山市万町4 ニューリチャードビル2F |
Luida | 和歌山県和歌山市和歌山市十二番丁9 リヴァージュ十二番丁201 |
Nagomi Lab | 和歌山市吉田386和歌山プラザビル402 |
Soune coworking | 和歌山県和歌山市本町3丁目 201号 32番地 102号(エンジニア特化型) |
cotowa(個と和) | 和歌山県和歌山市北桶屋町7 2F |
わかやまSOHOヴィレッジ | 和歌山市八番丁 和歌山市駅 7分 |
わかやまビジネススクエア | 和歌山市中 和歌山大学前駅 20分 |
和歌山市のコワーキングスペースはこの他にもたくさんありますが、和歌山市内に限らず高野町や有田市、紀南方面にもあり、全部合わせると100件近くなります。
ただし、バーチャルオフィスを運営しているコワーキングスペースは『シェアオフィス和歌山駅前』だけでした。
シェアオフィス和歌山駅前 公式サイトはこちら
最後に、シェアオフィス和歌山駅前の他にも和歌山のバーチャルオフィスを検討される場合は、和歌山でおすすめの格安バーチャルオフィス比較3選も参考になるで合わせて読まれると良いでしょう。
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